実施日 1980年4月4日~6日
参加者 半田
報告日 1980/05/14(二ぺの声/vol.5-No.1)
行程
04/04 清里駅06:21~~~松原湖駅07:10—08:00松原湖09:00—11:20稲子湯12:00—14:25横断道路出合い14:35—16:40白駒池入口—17:30白駒池/青苔荘着◇
04/05 青苔荘◇08:08—09:00高見石小屋09:45—10:45中山—11:15中山峠—12:15西天狗岳12:30—12:45東天狗岳—黒百合ヒュッテ13:30—中山峠—中山—15:10高見石小屋
04/06 高見石小屋08:00—08:35白駒池分岐—09:05麦草ヒュッテ09:30—10:35茶臼山—10:45コル11:00—11:30縞枯山11:45—12:06縞枯山荘13:15—ロープウェイ山頂駅13:45===14:50ロープウェイ山ろく駅===茅野~~~塩尻~~~名古屋~~~25:00*新大阪 (*新幹線架線事故のため)




4/4 松原湖から白駒池へ
清里発06:21,小海線下り一番列車に乗り込む.国鉄最高地点(野辺山駅の手前)をすぎると今までうなりをあげて登っていた列車も心地よいレールの継ぎ目の音を響かせる様になる.松原湖で降りたのは僕一人.駅には誰もいない.ひょっとしたら車掌が切符をとりにくるのではと立ちつくしていたがあっさりと列車は発車してしまった.従って切符は大事に持ち帰りました.
今日の行程は松原湖から稲子湯を経てみどり池湖畔のシラビソ小屋までの予定.バスは松原湖まで.そのバスも2時間も後なのでぼつぼつと歩き始める.スキーを持って歩くのは苦痛以外の何物でもない.松原湖駅発7:30(標高967m).松原湖から稲子湯までは約3ピッチ.雪をかぶった天狗岳・硫黄岳,そして稲子岳の黒い岩壁を前方に見ながら長い長いロードが続く.稲子湯着11:20.
夏沢峠から下山してきた親子の登山者の話によるとシラビソの小屋番が下山しており閉鎖中との情報を得る.ルートは稲子湯のおばさんの忠告に従い,林道経由のコースをとることにする.長い林道歩き確定である.スキーをザックにくくりつける.
北側の日かげ斜面に雪が残っている程度で道路にはほとんど雪をみない.奥秩父の山波を右に,ふり返れば硫黄岳の横腹.早春の山ろく歩きにはもったいないぐらいの無風快晴の上天気.じっと汗ばむ.横断道路合流点着14:25.
標高1800mを越えるあたりからやっとスキーが使える状態となる.1900mを越えるとガードレールの高さまで雪が残る.つぼ足で歩いた人のトレースが残っているが雪がしまっておらず時として深くもぐる様である.その点シール歩行は比較的労が少ないといえる.
息がきれて立ち止まって休むことが多くなり,地図をにらんでつづら折れのターンの数を指おり数えだす.2000mを越えるともうくたくた.白駒池入口の指導標にはまことに感動した.16:40.まっ白く凍結した白駒池に到着したのが17:30.標高差約1200mの長い林道歩きで蛇のように疲れた一日でした.
4/5 白駒池から中山・天狗岳を周遊し高見石小屋へ
翌日もぬけるような快晴.高見石小屋にザックをおいて天狗岳ピストンに出かける.中山の樹林帯は2月に来たばかりだからなんとなく足も心も軽くなる.中山北西部には見晴らしのいい部分があって南北・中央アルプスの眺めがいい.この箇所はこの前ガスられた時にルートを見失いかけたところだ.中山峠でスキーをぬいでアイゼンにはきかえる.好天で雪がゆるみアイゼンがぽっくりゲタの様になってくる.なかなか急な斜面である.
天狗岳は西天狗・東天狗からなり縦走路からはずれる西天狗は白一色の峰.東天狗から約10分の歩程である.帰りはほとんどシールをつけたまま滑降.この方がずっと疲れが少ない.適当な斜面もあって結構楽しく滑れます.
4/6 高見石小屋から麦草ヒュッテ,茶臼・縞枯経由で下山
夜来から風が強まり,朝方には小雨も時折まじるあいにくの天気となる.気温は高い.他の客(4人)はいずれも渋の湯へ下山の様子.早々とカッパを着こみ,さっそうと出発.林道へぬけて麦草ヒュッテへまたもや単調なシール歩行となる.予定では山ろくをまいてロープウェイ終点まで行くつもりであったが,視界がほとんどきかないので歩いた経験のある茶臼・縞枯を直登するコースをとる.大風がふきあれる.
茶臼の登りでは急登のため道のワキを登行するが雪がボソボソで非常に歩きづらい.若木のそばには大きな穴がまちかまえておりシールをすべらすとまんまとこの穴にはまってしまう.体全体がすっぽり埋まってしまいどうにも身動きつかなくなったことも2回ありました.あの不自然な格好は2度と再現できません.とにもかくにも茶臼・縞枯を越える.八丁平はこの暖かい風と雨のため,ところどころ池の様になっており,まさにこれでは水上スキーである.
縞枯山荘で暖をとりいよいよ下山.ロープウェイ山頂駅から山ろく駅まではツアースキーのコースとなっている.ここまで来てさすがに疲れがでたのか滑降もままならない.行程の半分位までシールをつけたまま滑る.シールをはずすと,スキーが勝手に走り出しスキーヤーをおいてけぼりにするmのだから,ついついドスン.起きあがるのに一苦労.いいかげん滑り転んだころにロープウェイ山ろく駅に到着14:50.結局コースタイムは夏の下山時間とほぼ同じでスキーの威力は発揮されずじまいでした.
4月の八ヶ岳は意外に残雪が多く楽しいところだが,スキーにはやはり1月~2月が最適の様だ.春は名のみの北八ヶ岳早春賦.静かなそして充実した山旅でした.
参考文献:半田,「北八ヶ岳縦走 1980」二ぺの声/S-54-No.18,pp.2/4-4/4(1980).